いらいらして、文句を言ってばかりいる子への指導。(昨年度の事例から)


他のクラスメートの行動に、いらいらして文句を言う。
それを、直接、その子に言えないので、教師に言う。
そういう子を、どう指導していくか。



クラス会議をはじめたころ、N子の提案がものすごく多かった。
いわく、
○○くんがけってきた。
△△くんが順番をぬかした。
□□くんがたたいてきた。
・・・

そのどれも、○○くんの方にもかなりの言い分があり、仲裁していると、ほとんどが双方の意地の張り合いが原因であった。
N子の方も、いたいところをつかれた、という場面もあり、逆にN子が謝らなければならないことも多かった。

N子には、なにかが育っていなかった。
担任の私は、そのなにか、をさぐりあてて、十分に与えてやる必要がある。


仲の良くない、こじれた関係を、どうやって修復していくのか。
クラス会議で、お互いに「ありがとう」を言い合っていても、特定の人間関係からなかなか脱しようとしなかった。

また、他人の気持ちになってみる、ということが、かなりむずかしい。
むずかしいというのは、能力の問題でなく、心境的に、やりたくない、という感じ。

「なんで○○の奴の、気持ちとか考えないかんの」

その後、きまって、

「○○の話ばっかり。うっとうしい」

「○○のわがままにつきあいたくないもん」

彼女は、クラスの大半を敵にまわしても平気だった。


担任としては、ともかくも、N子にふりまわされず、のぞましくない言動にはとことん注意を払わず、注目しない作戦に出る。
ほとんど、無視。

そのかわり、クラスの中の、仲の良いシーンをしきりと見つけては、みんなの前で感心してみせる。
N子がぼろくそに言っていた、○○くんのいいところや、ほんの少し、みんなのために、と行動していたことを見つけては、「感心」していく。
○○くんは、やさしいなあ。いいやつだなあ。クラスに、○○くんみたいな子がいて、みんな助かるよなあ。

N子が、マイナスの行動でこちらの注目を得ようとするも、ほとんど無視。
うるさくても、N子との力比べをしない。


その、どれもが、N子のため。
N子だって、居場所がほしいはず。
N子も、みんなから認められたいはず。

N子には、余計な言葉かけはしない。
しかし、

「注目はしているよ」

というメッセージを送り続ける。

授業中、きちんとすわっていたら、うれしそうにアイコンタクトを送る。
本を読んでいたら、「いい勉強してる」。
静かにしていたら、「協力してくれてる」。


「うっせえ!」
「おめえのためじゃねーよ」
「協力なんてしてないわ」

と、暴言はいつものとおりだが、心の中では、みんなの仲間に所属できていること、認められていることが心地良いはず。
長い道のりだが、彼女の本当の心根を、信じ続けよう。