通知票をつけなくてはならない。
近くの市の、知人教師は2学期制なので、

「えー、今、成績つけるのって大変じゃないの」

と言いますが、そのシステムで動いていると、大変でもやらねばならない、というので職員室は今やてんやわんやであります。
早めに使わないとプリンタのインクトナーが少なくなっているぞ、と教務の先生が叫んでいるかと思えば、こっちではひたすら出席日数を確認するために電卓を打ちこむ人もいる。
パソコンの画面をじっと睨んで文面を練ろうと画策する人もいるし、テストやプリントを山のように積み上げ、ひたすら赤ペンを走らせる人もいれば、その横を、コホンコホンと咳をする人が

「早退します」

と力なく、帰っていく姿もあり、なんだか個人個人がせつないほどにせっぱつまっている状況であります。

さて、わたしはそれほどでもない。

なぜって、まだ授業が終わっていないのだから、なんだか成績を云々、という姿勢になってないのだ。
自分の心がもっともっと、現実を見て、急いてくれれば、と思うのですが、心が落ち着きはらっていて、ちっとも急いでくれない。
疲れすぎているのだろうか。

テストのマルつけに追われている先生の横で、ぱちりぱちり、と爪を切っていると、

「○○先生、どこにそんな余裕があるんスか!」

と呆然とした眼で、見られる始末。


さあ、通知票だ。
なにをどう評価するのか。
むずかしい難題に、また直面する季節がきた。