低学年の先生が、悲痛な面持ちで声をかけてきた。
昼休みの忙しいさなかである。
保健室へつづく廊下と階段の、その途中ですれちがいざまに声をかけられた。
「今回の対応は、まずいことだらけ」
インフルエンザ、である。
学級の中で1割の子が感染したら、閉鎖にする。
これは、指標であったはず。
となりの若い先生のクラスから、感染した子が出てきた。
1人、2人、とかかり、次の日もまた1人増えた。
ところが、管理職は「まだまだ」とがんばった。
5人、7人と増えて、ようやく学級閉鎖になった。
そのとき、となりのクラスの担任であったその先生は、管理職にこう申し出た。
「学年閉鎖にはなりませんか」
学年閉鎖にした方がいいのではないか、という意味であった。
なぜなら、その先生のクラスにも、1人、感染者が出ていて、他の一人は原因不明だが高熱で休み、さらに授業中に気分がすぐれず、発熱で保健室へ行く子が2人もいたからだ。
徐々にひろがっている。
新型インフルエンザだ、と確信した。
ところが、管理職は、「父兄をいたずらに不安にさせないため」に、学年閉鎖を見送った。
翌日、インフルエンザの確定者が4人に増えた。
そして、不明だが高熱、という子が、3人。
朝から発熱で保健室、という子もでた。
がっくりと肩を落として、
「対応が全部後手後手。おそすぎるわよ」
管理職としては、なんとかこのシルバーウイーク、連休まで持ちこたえさせればなんとかなるのでは、という判断があったのだろう。
しかし、たとえ金曜日一日だけでも、閉鎖にすべきだったのだと思う。
なぜなら、インフルエンザにかかった低学年の子の、兄弟に感染がはじまったからだ。
高学年の子に、増え始めた。
それは低学年に兄弟のいる子たちばかり。
確実に、至近距離でくらす、弟、妹から感染している。
今度は、高学年の番か。
連休になっているが、連休明けには運動会も予定されている。
そこで、しっかり参加できるかどうか。
あるいは、罹患にきずかないまま、体調の悪いままで運動会に参加してしまう子がいないか。
さらにその後の感染拡大につながることだけは避けたい。
こうした感染への対応と判断は、管理職にかかっている。
管理職は、父母からの批判をおそれず、閉鎖にふみきってほしい。
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