4クラスが一堂に会し、プールサイドで準備運動。
順に並んでシャワーを浴びて、さあ、入水。

ピッピッと笛を快調に鳴らし、主任先生が子どもたちをプールにいざなう。

プールに入ると、一方通行に歩き出す。
自然と流れができ、シャワーを終えて、入水する仕組みがスムーズに流れ始めた。

さて、プールに入った子どもたちは、ぐるぐるとプールの縁にそって、歩き始める。
自然と、渦ができる。
100名近くの子どもたちが、いっせいに同じ方向にぐるぐる歩き始めるのだ。
まるで、「としまえん」の流れるプールのように、「長島スパーランド」のプールのように、流水のはげしいプールができあがる。
これが、いわゆる「洗濯機」というものだ、とあとで教えていただいた。

ところが。


プール指導の最中、

「先生、いまのぐるぐるが怖かったから、レベルを落としていいですか」

と言いにきた女の子がいた。

最初に、教室で、大体の泳力レベルを聞いていた。
25メートルが泳げる、10メートルならなんとかいける、あるいは、伏し浮きがやっとだ、とか。
その子は、面かぶりでバタ足ならやれる、ということだったので、全体A~Dランクの中の、Cランクに所属していた。

しかし、プールがはじまって最初の「洗濯機」が怖かった。
それで、気が変わったらしい。

「今の、すごい勢いだったから、怖くなった」

ということのようだ。

それで、Cランクも難しいのではないか、自分は相当、水はアカンのやないか、と思ったらしい。

「先生、Dにしていいですか。」
「はい。いいですよ」

いいですよ、としか言えない。


その子は結局、Dレベルのコースにきた。
担当は、私である。
どんな指導をしたか。
みんなで、目標を立てた。
どんな目標か。

「だるま浮き」

である。


つづく。