心のエネルギーが枯渇しがちな昨今。
子どもたちも、例外ではない。
毎日、ゆったりと夕食を食べるわけではない。
朝食を毎日食べられるわけではない。
両親が常に安定した心境でいるわけではない。
両親が暴力をふるいがちである場合もある。
父親がリストラにあうこともある。
経済的に揺らいでいることもある。
子どもの生活は二の次、三の次、という家庭もある。
これまで仲の良い友達といっしょに通っていた空手教室に、いきなり、
「もう来月から行かんで」
と母親に言われる。
そういうこともある。
兄弟のどちらかが、そう言われて、やめさせられる、ということもある。
急に下の弟が生まれて、ほっておかれることもある。
学校からの手紙もろくに読んでもらえない家庭もある。
毎日毎日、親のやつあたりにあっている子。
これらが、めずらしくないことになってきている。
日本が、どうなってきてしまっているのか、ひずみが子どもたちに、如実に表れてきている。
ひずみはまず、弱者におそいかかるのだ。
元気が、どこに消えたか。
子どもの元気が、急速に喪失していっている。
その子どもを心配して、親に電話すると、親がもう、ぎりぎりであったりする。
学校からの電話を受けるだけで、呼吸が苦しくなるくらい、せっぱつまっている親がいる。
「すみません、そこまでみてやれないんです。
・・・
朝、もう6時には家を出ています。
夜、深夜にしか、家に帰れないのです。
子どもには、学校からのプリントは飯台の上に置いておけと言っているのですが。
私が、見る余裕がないのです。
・・・」
元気。
顔の表情に、すっと、何か金属のような冷たさを感じることがある。
反応がなく、急に、舞台からいなくなるような。
おれ、いい。
たった3分の、バスケットの試合が、つづけられない。
ミスをしたとたん、コートを出てしまう。
ふらり、と。
「おれ、いいわ」
仲間の声も、届かない。
むろん、教師の声も。
元気の素は、どこに失われたのか。
お前の心には、マルがついていないのかもしれないが、おれはお前を○と思っている。いいぞ、と思うことがある。10年後をみているからな。
嘘のない言葉で。
そう言って、こちらはそう評価をしているんだ、と伝えていくしかない。
幼稚園の先生。
砂場の砂を投げつけた幼児に対して。
「○○くんはいい子だから、そういうこと、しないんだよ」
いい子なんだからね。
そういう、確証があるとかというの無関係に。
とにもかくにも、そう言っていく、というこちらの、腹、胆があるか。
おまえは、お父さんとお母さんの子なんだから。いい子なんだから。
いい子に、きまってんだから。
な、そういうことしないで、ちゃんと、やるんだよ。
親に、こう言ってもらえたら、どんな子だって、うん、とうなづきたくなるのではないか。
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