ピーマンの絵を描いた。

昨年、同時期に、ソラマメの絵を描いている。
同じ絵ではつまらないだろう、と考えた。

ピーマンは、形がふにゃふにゃしている。
安く、たくさん、手に入る。

ただし、ソラマメほど、大きくない。
どうしようか、迷った。
題材として、どうか。
ふさわしいのか。


教科書では、絵の具を使った遊びが紹介されている。
それも実践してみたが、やはり、なにか、モノを描いて見たい、という気持ちがある。
絵の具遊びでは、絵の具を画用紙にボタボタと落としてみたり、スタンプのように模様をつけてみたり、画用紙をナナメにして、すじをつけてみたりした。

まあ、おもしろかった。

でも、「まあ」がつく、程度だった。

絵の具遊びが終わってから、子どもたちが、さあ、本番だ、という顔で、こちらをみている。

遊びは終わったよ、次が本番なんでしょう。今年は、なんの絵を描くの?
そういうことだ、と感じた。


生き物を描きたい。
本当は人間がいい。
秋には、校庭の大きなイチョウの木を描く。これはもう、予定されている。

でも、それまでに、もっともっと、パレットの上での色づくりや、筆先に集中することや、息を詰めて色を置いていくことだとか、重ね塗りをしない、ということなど、練習しておきたいことがたくさんある。
それを、今の時期に、少しでも、やっておきたい。
経験させておきたい。

そこで、野菜。
いのちあるもの。
旬のもの。

子どもの中のいのちと、向き合える素材。

本当はカナヘビでもよかったけど、動くからなあ・・・。


ピーマン。

小松菜やほうれん草でもよかったけど、葉脈とかがかなり複雑だ。
そこで、豆がいいかな、と思った。
あるいは、実か。

ピーマンを選んだ。

画用紙は、しろではなく、色のついた画用紙を子どもに選ばせた。
枯草色、くるみ色、灰茶色、くちなし色など、しぶい和風の色。
そこから、思い思いの色を、選んで、ピーマンをのせてみた。

1)じっくり見てみる。

半分にたてにわられたピーマンを、じっくり見てみる。
色をたくさん、見つける。
緑、白、というだけでなく、その中に、どんな色がまじっているか、発表させる。
たくさん色をみつけた子をほめる。

2)下書きする。

大体の形をとらせる。これは線描き、というよりも、うすめの線。
頭の中に、ピーマンの写真をとるつもりで、描いて覚えるための線だよ、と伝えた。
線は、あとで絵の具に消えてしまうからね、とあらかじめ伝えておいた。
塗り絵方式ではなく、今回は、線をも塗り消してしまう方式をとった。
今回は、墨汁の線を生かすような、絵手紙のようなものをめざしているわけではないからだ。


3)へたのあたりの色をパレットに作る。

へたの色をつくる。白、だけではない。黄土色、黄色、黄緑、灰色などに、白をまぜて、白っぽい色だけで、5色くらいつくる。これで、パレットの上半分が占められる。

4)緑の部分の色を、パレットに作る。

緑色の部分の色をつくる。これも、ただの緑やビリジアンだけではない。緑に、茶色、灰色、白、黄色、黄緑、赤などをまぜて、7色くらいの緑っぽい色をつくる。これで、パレットの下半分が占められる。

5)へたの色から、塗り始める。一箇所を塗ったら、そのとなり、そのとなり、という具合に色を変えながら、ぬり進めて行く。
とびとびで、塗ったりはしない。目がうろうろしないためだ。ここ、という場所を見て、目をうろうろさせず、隣の色、隣の色、というように、色の変化をたしかめて見ていきながら、パレットの色を駆使して、塗り進めて行く。

これで、4時間集中。(2日間)

ピーマン。
みんなが、それぞれ、やった、という顔のできる作品に仕上がりました。


別の先生に見ていただいたところ、いいね、というお褒めの言葉とともに、色の作り方が、もっともっときめ細かくなるレベルのお話をしていただきました。
「12色の絵の具だと、こんなものかもしれないけれど・・・」
ということでした。

12色であっても、赤紫、灰色、エメラルドグリーン、などを単色でチューブ購入jして、それぞれの児童がもっていれば、かなり深みの有る色が出せる、ということでした。

ふーん、奥が深い。