2年生が、校内探検、と称して、学校中を探検して回っていたのだが、
担任の先生に連れられて、職員室も見に来たのだ。

職員室の扉はしまっている。
だから、がやがやという声と気配と、担任の先生のはりあげる声で、子どもたちが来たことがわかった。

2クラスだから、2人の担任の先生が、続けて来た。
そして、2人とも、同じように、職員室の説明をした。

ところが、微妙になにかがちがう。
空気がちがう。
子どもたちの感じ取っている、なにかも、おそらくちがうのではないか、と感じた。

1組も2組も、担任の先生が
「ここが職員室です」
と言った。
ここまでは同じだった。

次がちがう。

1人目の先生。
すかさず、
「とびらにさわらない!」
大声である。

そして、
「職員室の扉をあけるときは、きちんとここに書いてあります。失礼します。何年何組のだれそれです。M先生に用事があって来ました。と、こう言います。今日は中でお仕事をしているから、開けません。でも、みんなが今度なにかのご用事でくるときがあったら、こういうぐあいに言ってくださいね。」

なんとなく、子どもたちのがやがや、という雰囲気がある。
それに負けないように、先生が声を出している、という感じ。

それを聞いて
教頭「学校探検も大変だなあ」
ワタシ「そうですねえ」


ところが、その直後に、別の先生とクラスの子どもたちが来た。
2組の子たちである。

「ここが職員室です」
先生のはりのある声がする。
でも、なんとはなしに、リラックスした声だ。

「あ、うしろの方の人で見えない人がいます。前の方の人、すわってください」
急がせる風でもない。声がそういう声質なのかな?リラックスした感じがある。
そこで、おそらく、何人の子かが座ってくれたのだろう。
「はい、うしろの方の人、見えますか?」
担任がもういちど、確認をしている。

「はい。ではもう一度。ここが職員室です。ここに、H先生もいます。用事があったら、みんなもここにくることができます。先生に伝えなくちゃ、と思ったことがあったら、ぜひここまで来て下さい。ここに、もう来たことのある人!」
(ハイ、ハイ)
「うわあ、もう来たことのある人もいる。どうですか?ちゃんと先生とお話ができましたか?」
(○○先生いた!校長先生もいた!)
「そう。校長先生もいます。お話しましたか?」
(お話した!)
「よかったねえ。ひとつだけ。お話しするときのお約束があります。先生たちをよぶときは、○○先生!ガラ!と開けたりしません。先生たちがびっくりしてしまいます。先生たちがよくわかるように、みんなの言い方があります・・・・」


なんとなしに、2組の子たちが、リラックスして、学校探検を楽しんでいる風が伝わってきた。そして、おそらく、クラスの仲がいいのではないか、と予想できた。


うしろの子で、見えない子がいる。

そのことを、担任がとっさに心配している。
前の子にすわってほしい。
そのときの言い方も、

「はい。前の子、すわりなさい」

と、のっけから言うのではなく、

「うしろの子で、見えない子がいます。」

と、事実をまずはみんなに伝えている。
その後、前の子はすわってください。という指示を出す。
そして、うしろの子、見えますか?だいじょうぶですか?という確認の配慮がある。

うしろの方に立っていた子で、これで先生を好きになった子がいるだろう。


そういう、価値の有る、ひとことだった、と思う。