子どもたちが、長いキャンプを終えて帰るとき、迎えに来た親たちと、にぎやかに帰り支度をする様子が見えた。

少年たちは、夏休みを終えても、学校が始まっても、同じようにエネルギッシュに育っていくことだろう。残念なことに、その一部始終を映画のように見てみたいが、それはかなわない。

今回、たった一日であったが、ひとりの人間がだんだんと育っていく様子を、すぐ横で眺めることができた。
これはもしかしたら、ものすごいドラマをみていることにならないだろうか。

駅へ向かうバスが、子どもたちを大勢のせて、出発していく。バスの後部席に、派手な色をした子どもたちのリュックサックが並んで見えている。ちゃめっけのある少年が、後ろ向きに座ってにこにこしている。近所の大人たちが、手を振りながらそれを見送っている。

いこいの森の方から、涼しい風が吹き渡ってきた。

そして、子どもたちの歓声がとだえた静かなキャンプ会場にまでやってきて、窓の軒に吊った風鈴を、不規則なリズムで鳴らせていた。(コースケ・完)