その後、新しい年を迎え、お世話になった職場を去る準備を進めた。
臨時講師の口があり、ほぼ確定できそうだった。

いざ、そうなってみると、自分よりも周囲の人たちがスイスイと動いて、助けてくれた。
後輩もよく仕事を覚えてくれた。
また、会社の関係者からだけでなく、こちらがお世話になったお客様からも、たくさんのエールをいただいた。
ヘマもドジもやったのに・・・。
会社の人たちだけでなく、お客さんまでもが、新しい出発を祝ってくれたのだ。それが、とても嬉しかった。

3月末、仕事を終え、もう二度とくることのない門を出た。
ふりかえってみる。
研究所の新しい標柱が、夜の外灯で光っていた。
顔なじみの守衛さんが、手を振ってくれた。

終わった、という気はしなかった。
まだ、これから。

なによりも、教員採用試験がある。
これに合格しなければ、本当に本当の「安心」にたどり着くことはできない・・・。