さて、目的の免許を取ってしまったので、大学は行かなくても良くなったかというと、
色々調べているうちにさらに次のことが分かった。

つまり、ニ種の免許を持っていれば、大学で所定の単位を修めることで、一種にグレードアップできる、というのだ。
私はほとんどその単位を取得していた。それを知って、一種への更新計画を練った。
その後、もう一度、地元の教育委員会へ尋ねてみると、

・大学を卒業して「学士」の資格を得ていること
・大学で所定の単位を修得すること
・1週間の介護体験実習を行うこと

この3つを経ることで、一種にできます、ということだった。
これをきいて、よし、いつの日か、一種にするぞ、と誓った。
わたしにも、いつか大学も卒業できる日がくるかもしれない。


ところで、教員資格認定試験に合格してから、よろこんでいるうちに、おめでたいことは続くもので、息子が誕生することになった。

まる2日間、寝ないで付き添ったおかげでくたくただったが、無事に出産。女性はえらい。
親になった実感には、深いものがあった。
はじめて、自分の生きている世の中とがっぷり四つに組んだような気持ちがした。

いろんな感慨が湧いてきた。
この子を、親父として育て上げていく。
嫁さんとも新たな関係が始まる。
おたがいに、夫婦として、さらにやっていくことがある。

赤ん坊は最初の半年くらいはおとなしかった。しかし、ハイハイし始めたと思ったら、じきにつたい歩きをするようになった。公園に連れていくと、うれしそうな顔をする。

スクーリングのない休日など、嫁さんが
「公園でも行ってきてくれない」
と疲れた顔で言うのを聞くと、連れて行ってやらないわけにいかない。
ほとんど寝ていない嫁さんの身体も心配だからだ。

嫁さんの睡眠時間を確保するために親父としてもいろいろと協力する。買い物にも行かねばならない。嫁さんの話し相手にもならないといけない。育児というのは話すことが尽きないようで、それを聞かないと怒る。
こうした結果、親父の私だって、ほとんど休む暇がない。

でも、幸運だった。
ほとんど大きな山を越えていたからだ。
卒業までに仕上げるレポートもほとんどのこっていなかったし、何よりも二種ではあったが、教員免許をもらっていた。
つまり、免許があるということは、臨時採用の講師も希望できる、ということであった。

(つづく)